よつまお

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【モノクロの世界に光が灯る】あの日、世界の終わりが到来したと思った。大…

文芸賞にて最優秀に選ばれたものだ。

 

未だに記憶に鮮明に残っている人も多いであろう、あの震災をテーマとして書かれている。

セルフレビュー

だが私の中では今となっては、どうしても納得のいかない文章になってしまったと後悔している。

より上手く、上質に言葉を紡げなかったか…

 

しかし、これが評価されたことも事実だ。

このとき綴ることが出来た文章の勢いを、もっと磨かなければ。 

モノクロの世界に光が灯る

あの日、世界の終わりが到来したと思った。大げさな表現ではなく、心底そう感じてしまった。私の住む地域は、比較的揺れが大きい場所だったせいもあるのかもしれない。

 

もちろん、直接の被災地に比べれば大したことなどない。だが、本能的にそう感じたのだ。少なくとも今まで生きてきた中で感じたことのない類の不安感が身を包み込み、足の震えが止まらなかった。

 

私たちは今、情報の世界で生きている。テレビ・ラジオ・新聞・書籍・インターネット等々。未曾有の恐怖の中で、インフラが完全にダウンし、情報を思うように取ることができないということが、これほどまでに疑心を煽るとは思わなかった。

 

我に返ったときに私は、目の前を行きかう見知らぬ人と言葉を交わし、情報を交換していた。普段人と接することを嫌う自分が、このときばかりは誰かとの触れ合いを欲していたのだ。

 

現状を少しずつ把握していき、交通機関が完全にマヒしている中、徒歩でようやく自宅にたどり着いたときには深夜になっていた。

 

暗い自室で余震の揺れに震え、言い知れない孤独感に疲弊した精神を癒すことはかなわず、眠れない夜を明かし次の日を迎える。

 

朝になり、目にした現実は“混乱”だった。

デマが飛び交い、それに踊らされた不必要な物資の買占めが起きる。

 

一部の人々の醜い騒動から目を背けるために、私はラジオに耳を傾けた。

 

学生の頃は、勉強の合間によくラジオを聴いていたものだが、久しぶりに耳にしたラジオパーソナリティの声には暖かさがあった。

 

テレビでは被害の深刻さを語るばかりで暗くなっていた心が、まるで明かりに照らされたかのように光に満ちていく。

 

“がんばれ”……この言葉は本来多用するものではない。本当に頑張っている人の気持ちを踏みにじっているからだ。

 

しかし、その日の私は、インターネットやラジオで表現される多種多様な“がんばれ”に勇気付けられ、気付けば自然と涙を流していた。

 

奇跡など日常ではなかなか起きてくれない。それは私の二十数年の短い人生経験の中でも、十二分に悟っていたことだ。直視できない惨状を突きつけられ、絶望的な感情にさいなまれながらも、私はそこで画面の向こうの光景に対して“あきらめるな”と言葉を発した。

 

別に現実から逃避していたわけではない。

十人中十人が助かってほしいなどという甘っちょろい感情など微塵も抱いていなかった。何もすることができない自分を腹立たしく思いながら、只々、十人中一人でも多く助かることを願っていた。

 

その日まで私は、自分がいつ死んでも構わないと思っていた。昨年かけがえのない親を失い、より身近になった自然の摂理に対し、恐れもなかった。今この瞬間に死んでも後悔しないよう、日々やれることの全てをやり遂げ、覚悟して生きてきたからだ。

 

だがあの日は、本当に死にたくなどなかった。やりたいことなんて常にやりきっている。なのに、まだやらなければならないことが残っている気がしたのだ。

 

ここで私は、本当は“生きたがり”な自分に気が付く。そしてもっと大切なことにも気付いていた。

 

もしかして私らは今、かつてない激動の時代に生まれ、生きているのではないか。決して被災を美化・正当化するわけではない。

 

だが、この経験を皆と共有できているのは、辛くとも貴重なことだと単純に思うのだ。

 

退屈な日々に一つの目標ができる。もう他人事では済まさせない。自らの未来は自分の手で切り拓き、形作っていく。

 

幾多の試練が目の前の道を塞いでも、それを不屈の闘志でことごとく打破してきたのが人類の歴史なのだ。

 

もし天命などというふざけたものがこの世に存在するのなら、これを乗り越えるのが私らに与えられた使命なのだろう。明るい将来をその手に掴むために、私らはここからまたスタートできるはずだ。

 

独りでも必ず何かやれることがある。諦めずにここから再び立ち上がろう。今こそ私ら一人ひとりの力を結集するときだ。手を取り合って大きな声で、あえてこの言葉を世界に叫ぶ。

 

「頑張ろう!」