なぜ蜂蜜は殺菌効果あってもボツリヌス菌がいるの?【赤ちゃん注意報】
四方山話シリーズ。ハチミツといえば、高栄養価で美味しく、古くから使われてきた食材だね。近年では高付加価値化を狙ったオーガニック系の製品をはじめ、関連のローヤルゼリーやプロポリスなんかも人気。
そんなこんなで、つい先日。いわゆる「Amazonあんしんメール」なるもので「乳児のボツリヌス症にご注意ください」というメールが来たのがネット上で話題に。
これは乳幼児向けの製品と蜂蜜をAmazonで購入したことがある人に向けた注意喚起メールで、「密林さんgj!」の声が後を絶たない。
しかしふとここで思ったことがあるんだよね。
そもそもハチミツといえば「高い殺菌効果もある」という話を聞いたことがある。なのになぜ「ボツリヌス菌」はハチミツの中で生きているのか?ってこと。
A. 単にボツリヌス菌がすごいから
というか、まず少し誤解もあるんだけど、そもそも市場に出回っている「全てのハチミツ」がボツリヌス菌およびその毒素で汚染されているのか?っていうとそういうわけでは決してない。
だから1歳未満の乳児にハチミツを誤ってあげちゃったから「絶対やばい」ことになる!ってわけでもないので、まずは落ち着こう。今まで知らずに食べさせちゃってて昨今のニュースで初めて知ったって人も少なくないはず。
そもそもボツリヌス菌ってやつは、最近は美容整形分野のボトックス注射などで耳にするようにもなって、名前からしてなんだかヤバそうに感じるんだけど、、
実際のところは、わりと外のどこら辺にでもいるありふれたやつ。例えば土の中とかね。なので家庭菜園とか好きな人にとったら、知らず知らず身近な存在になってるはず。
そんなボツリヌスちゃんのすごいところ、っていうか厄介なところは嫌気性。いわゆる「空気の無い場所」でこそ繁殖しやすいって部分。
例えば真空パックとか缶詰とか、瓶詰とか、、パッケージングされて酸素が少なくなってから、ここぞとばかりにせっせと繁殖して毒素を作ったりする。
そんなボツリヌスちゃん、実は蜂蜜がとれる花の中にも存在してる。そして蜂蜜の中にひっそりと引きこもってるわけよ。
これが乳児にとっては蜂蜜は避けるべき=危険って言われている由来。
しかしここでまたしても疑問。なぜ乳児はダメで、なぜ大人はハチミツ食べても平気なのか?
A. 腸内フローラが整ってるから
いわゆる腸内の細菌叢ってやつ。ビフィズス菌や悪玉菌とかも含めて、そういったやつらの巣というか層。これが大人の腸内ではバランスをとってくれて、便通や免疫、健康に役立っているんだね。
さらに大人の場合は、胃から十二指腸までの消化管が長いので、その旅路の間にボツリヌスちゃんが元気を失ってくれるって側面もある。
ところが生後間もない乳児の場合は、消化管も短く、腸内フローラが未完成。
ここに蜂蜜に混ざったボツリヌスちゃんが来ると、引きこもりから復活。先述の「嫌気性」の性質によって腸内で活動を開始してしまうんだね。
これがいわゆる「乳児ボツリヌス症」というやつ。乳児では大人の場合の食中毒症状とは違い、毒素による神経麻痺症状が主なもの。潜伏期間は3日から長いと1か月近く。
なので、なんかハチミツ食べさせてしまってから便秘だったり元気が無かったり、なんだか様子がおかしいぞ?という場合は、ぜひ早めに病院に診察に行こう。発症が確認されれば、いわゆる「血清」によって対処可能なレベル。
ちなみに、大人でも薬などで腸内フローラの状態が悪い=免疫力が下がっているような場合は、ボツリヌスちゃんに対する抵抗力が弱まり、乳児と同じく毒素による中毒症状になってしまうこともありえるので要注意。
とはいえ甘くっておいしーい蜂蜜。では赤ちゃん(大人も含め)はいつ、どうやったら安全に食べられるのか?
A. とりあえずは1歳超えるまでは待て
所詮バイ菌なんて加熱すれば平気やろ!と思ったら甘い。甘すぎる。ボツリヌスちゃんの引きこもり耐性はすさまじく危険。
まず普通の調理方法ではそう簡単に死なずに生きている。
まぁたぶんハチミツを150度くらいの油で10分くらい素揚げにでもすればいけるかも(全くの無根拠)だけど、そもそもそんな食べ方になんの意味があるのかって話で。
ということで乳児の場合は素直に1歳以上になるまで、ハチミツおよび蜂蜜を含む製品は辛抱。
ちなみに洗浄が甘かったりする自家菜園系の野菜やフルーツ、現代では激レアな井戸水なんかも汚染のリスクがあるので注意。
大人の場合も、先ほどのように免疫力の関係があるので、むしろ病気の時とか疲れまくったときこそ甘さが欲しくなるけど、万々が一の確率をもし考えるなら控えた方が無難ってことになってしまうね。
中国産じゃなく国産や有名な欧米産だから安全~とか「一切関係なく」、
純粋はちみつだから、生だから、未処理・非加熱だから安心~とかも「もちろん関係なく」、、
むしろ加熱処理がなされていたとしても、乳児にとっては常に一定のリスクがあるものだ、ということをきちんと理解しつつ、はちみつと上手に付き合っていきたいよね。
それではみなさん、よいハニーライフを!
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